はるのあしおと -Step of Spring-(PS2/アルケミスト)

http://www.alchemist-net.co.jp/products/haruoto/

minori製作で2004年7月発売された「はるのあしおと」のPS2移植版。
なんつうか、特にminoriファンでもないのに、なぜ買ったのかつうと、アルケミストの移植だったからです! いやもう、理由そんだけ。
アルケミストブランドの移植作の移植度やシステム周りの出来が良いのは(ワシにとって)最早常識!
PS2の【バルフドフォースエグゼ】【デュエルセイヴァーディスティニー】、すべてワシの期待を裏切らない出来でした。「これはもう、アルケについていってみるしか!?」というわけで、半ば魔が刺して買った。でも後悔はしていない。なぜなら面白かったから!
プレイ前は特定のヒロインのルートに楽々入っていける「おたすけナビ機能」や、お気に入りのヒロインを選べば、選択肢なしでエンディングまでいけるという、いわばおたすけナビの上位版「おまかせ機能」といった、物語を読ませるためのシステム周り等に目が行っていました。このおまかせ機能の割り切りぶりは本当に感心したけれど。

が、実際始めると、実にワシの心をくすぐる物語展開と、演出が、、、、あーもう!たまらないぜ!
というぐらい面白かった! すごいです、minori

本作の大きな柱は「成長物語」です。minoriがこれまでの作品を通して描いてきた、「人間」とその周囲の世界、そして「想い」。『BITTERSWEET FOOLS』で群像劇を、『Wind -a breath of heart-』ではファンタジックな世界を通して表現しようとしたそれらを、よりストレートな形で、より純粋に、他の要素によって薄められる事なく描くこと――

それが3作目にあたる本作『はるのあしおと』の制作において私たちが定めたテーマです。
________minoriオフィシャルホームページ(http://www.minori.ph/)より

このスタッフコメントには正に偽りがなかったでしょう!
つらい過去から心を閉ざしてしまった主人公と、各々個性豊かなヒロインとの出会いでお互いが己の足で前へ踏み出そうとしていく様は感動せずにいられませんでした。
また、「インタラクティブ・ノベル」と称するこのゲームの演出は、まさに物語を見せるために細やかに気が配られたすばらしいもので、見事に物語と調和しています。
背景一つにしても、多くの恋愛ノベルゲーに見られるような立絵の羅列ではなく、物語のイメージを伝えるための挿絵的なものだし、その見せ方も画一的なものではなく、時にカット割りやキャラ視点も変化させて展開する。ただ声と音楽がついただけではない、ノベルゲーの長所を生かしたものです。
あと、自分的に大きなポイントだったのは、口パクがあったこと。ノベルゲーでは、口パクがあったほうが感情移入度が1.5倍は高まるというワシの持論がありまして。しかも台詞にあわせた大きさで口パクをするのです。スゲー!

いやもう、ノベルゲーの一つの到達点ではないかと思うくらい、ワシは感服しました。