銀盤カレイドスコープvol.3 ペア・プログラム:So shy too-too princess』(海原零/集英社スーパーダッシュ文庫
ISBN:4086301679
http://dash.shueisha.co.jp/-ginban/

えっ? 孤高のプリンセスフィギュア・桜野タズサがペア転向? 私が生身の♂(ボーヤ、二枚目)と!? あ、ありえない! 誰がそんなバカなことを……って、言い出しっぺはこの私。理由はさておき、私には不可能はない…なんてタカをくくっていたんだけど、いざ蓋を開けてみたら、怖いわ難しいわ照れくさいわ……しかも、あの女のせいで引くに引けなくなっちゃって――もう、パニック寸前!! どうすればいいのっ!?
毒舌プリンセス伝説“ペアの章”!?__________________(『銀盤カレイドスコープvol.3』裏表紙より)


VOL.1とVOL.2の感想はこのへん

つうわけで、昨年夏に刊行された『銀盤カレイドスコープ』の続編。
いやぁ、まさか続編が書かれたとは。
VOL.1とVOL.2が綺麗に完結していたので続編は無いと思っていたのですが。
・・・
うわぁ・・・面白いや!
前作では導き手でありヒロインのお相手だったピートという壁を乗り超えるべく奮闘するタズサ。
大体は前回のように“沈みきった後、開き直って頑張る”っつう流れなんですが。
今回はピート無しで立ち直らなければなりません。そこをどう描くかが最大の関心事だったのですが・・・
女の子はやっぱり強いや!
いやいや・・・、タズサの格好よさにはメロメロですよ!
そりゃあ、オスカーが尻込みしても仕方ありますまい。

VOL.1&VOL.2でもそうでしたが、主人公キャラクター『桜野タズサ』の魅力とフィギュアスケートの描写の旨さは流石。
前の話と別物ではなく、前回で成長したタズサの前に、その成長ゆえに立ちはだかる新しい壁を乗り越える話という、まさに“続き”だと言うのも良かったです。

読み進めて一つ感じたのは、“これって少女小説(漫画)に近い?”という事でした。もともと、ライトノベル(キャラクター小説)の先祖が少女小説だという説があるように、それ自体はおかしくないのですが。
もっと言えば『丘の家のミッキー』(久美沙織集英社コバルト文庫)に近い感じがする。(こちらはフィギュアスケートもしないし、主人公が毒舌だったりはしませんが)
なぜVOL.1&VOL.2を読んだ時に考えなかったのか?
理由の一つは、自分が少女小説に類するものに初めて触れたのが、昨年(2003年)の秋だから。『銀盤・・・』のVOL.1&VOL.2を読んだのはその前の夏。だから、夏では意識しなかった事を、今になって強く意識するのでしょう。
もう一つには、VOL.1&VOL.2ではピートという存在がヒロインに深く入り込んでいたから。対してVOL.3では、タズサが1人で己の殻を破る物語になっています(オスカー? 脇ですな(キッパリ)。 そこがVOL.1&VOL.2とVOL.3の大きな違いでもあるのですが。