海原零/集英社スーパーダッシュ文庫

オリンピックを目指すフィギュアスケーター桜野タズサ。
美貌と才能をもちながら、その高飛車な性格とへらず口から周囲は敵ばかり。
そんな彼女に突然『幽霊』が取り付いて・・・!?

といった感じの設定の、いわゆるライトノベル
フィギュアスケート版『ヒカルの碁』”という微妙な噂を聞いて確認したら、上記のような紹介文で、本当に微妙だなぁ、と思いながらも読み始めるたわけですが。

オリンピックの出場権をかけて戦い抜くvol.1。
世界屈指の天才少女スケーターに挑むvol.2。
・・・いやー、面白い!

vol.1の最初の方は少女&少年幽霊のコメディ色が強い話と思ったのですが、それも序盤だけのお話。
物語が進むに従って、コメディ要素は味付け程度になり、主人公のフィギュアスケーターとしての物語がメインに展開していきます。
全編通して一気に読んでしまいました。
フィギュアスケートを題材にした小説ってどうなのよ?」と思いましたが、自分には全く馴染みが無い競技にもかかわらず、かなり読ませられました。
読んでいて何が一番面白かったかというと、主人公が殻を破ってフィギュアスケーターとして成長していこうとする様です(もちろん、他にも見所はあるけれど)。
この作品は「主人公と幽霊の奇妙な二人三脚でオリンピックを目指す物語」であると同時に「自分を取り巻く様々なものに抗おうとする少女の物語」なのでした。
現時点で今年読んだライトノベル作品で一番をつけても良いくらいです。